この日は「商品の選択と購買」と題した授業でした!
授業内容に関連してみなさんからいただいた質問、および私が紹介しておきたい感想などをご紹介します。
09.1.21「産業・組織心理学」(SUAC) Q1
Q:ネスカフェの教訓はターゲット層をリサーチすることと同じだと思っていました。この調査は面白いなと感じました。調べ方など。
A:もし興味があれば「マーケティング・リサーチ」に関する本を読んでみるといいでしょう。SUACの図書館だったら例えばこんな本があります。
>体系マーケティングリサーチ事典. 林英夫 [ほか] 著. 同友館, 1993. 2階参考図書 675.2/H 48 <※2000年に新版が出ており、現在福岡の研究室にある>
>マーケティング調査と分析. 塩田静雄著. 税務経理協会, 2006 (中京大学大学院ビジネス・イノベーションシリーズ, マーケティング). 2階閲覧書架 675.2/Sh 77
>調査・リサーチ活動の進め方. 酒井隆著. 日本経済新聞社, 2002 (日経文庫:855 ; I26). 1階閲覧書架 361.9/Sa 29
09.1.21「産業・組織心理学」(SUAC) Q2
Q:ブランド品は、それを身につけている人のステータスを表すモノになっていて、それは、自分自身の満足感をみたすというのもあると思うが、他人に気づかれ、承認されることによってその存在理由がはっきりすると感じました。
A:「満足感」の源泉は何か、ということですね。「ブランド品を身につけている私」は、同時に他者に見られる私でもあるわけで、他人がそれを認めることは、満足感を大いに促進させてくれることでしょう。
09.1.21「産業・組織心理学」(SUAC) Q3
Q:同じ製品でも、有力ブランドのものと無名ブランド(ブランド無し)のものでは購買力や印象にも大きな違いがでてくる。また、インスタントコーヒーのように、あまり「いいもの」として思われていなかったものでも、有名ブランドの商品であれば売れる、というところから、人気のあるブランドの力はどんな広告類よりもインパクトがあるのではないかと思った。
A:有名ブランドが「いいものと思われていないもの」を扱うのは、諸刃の剣というか、リスクも大きいと思います。なぜなら、「いいものではない」ものを扱うということは、“その程度のものも扱うところ”として、ブランドの価値を下げることにつながるからです。もちろん「いいものと思われていないもの」の評価を上げる可能性もあるわけですが。
09.1.21「産業・組織心理学」(SUAC) Q4
Q:かつてのマックの「ハンバーガー65円セール」は、商品に対する品質評価を下げることにつながったことを初めて知った。企業が骨身を削って打ち出した価格設定だがそれが裏目に出るということから、非常に微妙な調整が強いられるのだと思った。
A:価格設定は非常に重要ですね。単に原価にちょっと上乗せしただけ、というわけにはいきません。競合他社(他店)の動向を睨みながら、まさに戦略的に決定すべき部分です。
09.1.21「産業・組織心理学」(SUAC) Q5
Q:マクドナルドの値引き戦略は、品質評価が大きく低下した。食の安全が問われる今ではとても考えられない戦略だと思った。
A:食の安全が問われていることと値引き戦略とは、直接の関連はないはずですよ。マクドナルドの平日半額セールが失敗に終わったのは、それまで高かったものを値引きしたからであり、また平日と休日で同じモノに極端に違う価格をつけたことによるはずです。他方、たとえば「中国産が安い」から「中国産の安全性が低い」とされているのではなく、中国産に危険性のある商品があった、という事実から他の中国産も危険だと類推されているのではないでしょうか。
09.1.21「産業・組織心理学」(SUAC) Q6
Q:バイト先で、売れ残った商品をよくもらえるようになってから、バイト先ではあまり買い物をしなくなってしまった。欲しいものがあっても、「そのうちもらえるかも!?」という期待があるからなのだが、これは購買意欲が低下しているだけでなくて、商品の価値自体も無意識のうちに低下してしまっているのかなと思った。
A:確かにそうかもしれませんね。「売れ残る」「もらえる」程度の価値しかない商品、という認識になってしまうでしょうから。
アルバイターもやはり消費者になり得る、という観点でいえば、売れ残りがどくらい出るか、その売れ残りをどう処分するか、といった(おそらくはお店単独で決定できる)部分についても、マーケティング戦略をふまえて対処すべきでしょうね。
09.1.21「産業・組織心理学」(SUAC) Q7
Q:端数価格は、もし980円だったとしても、買う側は、1000円のものを買ったという意識だと思うから、1000円で売っても、売れるのではないかと思った。
Q:端数価格の「ex.980円・4980円」と見てもあまり安く感じない様な気がしたが、実際にチラシを見ると、大分印象が違って見えたのでやはり効果はあるのだと感じた。
A:前者のコメントのように、もし端数価格にしてもしなくても売り上げがあまり変わらないのなら、多くの店舗で端数価格は使われず利益が大きくなる(単価が高くなる)大台価格(1000円など)がつけられるでしょう。たとえば998円とか980円とかの価格をつけた方が結果的に利益が大きくなる(売り上げ個数が増加する)から、端数価格が普及しているのだと思いますよ。
もちろんこの価格設定は店舗の種類や商品によっても違います。「量販店」つまり売り上げ個数で勝負するお店で使われているはずで、たとえばデパートだけでなく手作りパンやケーキのお店ではめったに使われていないでしょう。
09.1.21「産業・組織心理学」(SUAC) Q8
Q:高い商品を値引きするより、安い商品をさらに値引きする方が、集客力が高いということを初めて知った。
Q:高いものを割引するより、安いものを割引する方が同じ値段で割り引いても安くみえるというのが不思議であり、おもしろいと思った。
A:1つは、割引額ではなく割引率が重要だということです。248円を198円にするのは「50円」よりも「20%」とみられるのであり、1000円を950円に割り引くのは「5%」なのでしょう。
もう1つは、来店客数の増加につながるかどうかということです。198円になったものを買うのに来店する人の方が、たとえば同じ割引率で1000円から800円になったものを買いに来る人よりもずっと多いでしょう。来店すれば他の(必ずしも値引きされていない)商品も買う可能性が出てくるわけで、結果として利益はより増大することになるはずです。
09.1.21「産業・組織心理学」(SUAC) Q9
Q:価格判断の文脈効果のところでプリントではデパートとスーパーマーケットを比較していたが、私が1番価格判断の基準が異なると思うところはディズニーランドです。1500円の小さいぬいぐるみを例に出してみると、ディズニーランドでは妥当な値段だと思ってしまうが、普通の雑貨屋さんでは絶対高いと感じてしまい、おそらく買わないと思います。ディズニーランドに行くたびに金銭感覚がマヒしてしまうように感じます。
A:「ディズニーランドで買った」ということに付加価値が出るのでしょうね。それは、本物感つまり品質評価の部分でもあるでしょうし、同じ品質であっても、それに付随する思い出の価値が違うということ(たとえば「絵はがき」はどこで買っても品質は同じはずだが、その場所で買うからこそ意味が出てくる)でもあると思います。
09.1.21「産業・組織心理学」(SUAC) Q10
Q:行動経済学の分野の本が増えているという話は、本を出している人は、もうけられるからのっかっている感が強いのでは?と若干感じました。
A:確かにそういう面もあると思います。私がしばしば感じるのは、行動経済学の知見と称して主張されていることの中に、心理学ではすでに常識的と考えられているような事柄があたかも“新たに発見された”ことであるかのように扱われているものがあることです。たとえば、ちょうど1/23(金)の日本経済新聞に『世界は感情で動く:行動経済学からみた脳のトラップ』という本の広告が出ていたんですが、本の中身を紹介する部分で「予言の自己成就」「集団思考」「バーナム効果」の3つが挙げられていました。1つ目は社会心理学で、2つ目は産業・組織心理学で説明した事柄ですね。そして3つ目は「血液型と性格」の間に仮定される関係を説明するときに使える原理です(私は直接はこの用語を使っていませんが、池村先生は説明されていたはず)。
09.1.21「産業・組織心理学」(SUAC) Q11
Q:商品を買わせることに心理学は深いところにあると思った。売る側も買う側も人間なんだから、当たり前かもしれないが、戦略にはかかせないと思った。それにマクドナルドの例のように、ただ安くすればいいってものではない。今回の授業は戦略に必要な知識を学んだように思えた。
A:マーケティング(およびそれと表裏一体である消費者行動)は、心理学の専門知識を一般社会で活かせる領域の1つです。
「政策」とは本来戦略的であるべきですから、文化政策学科の人にとって、マーケティングの知識と素養(そのような考え方ができるということ)はとても大切だと思います。ぜひ、この方面での知識を増やしていってください。